下町フォント日記

佐藤豊オフィシャルブログ 2007〜2010

こんな時代もあった

外は小雨。とうとう机の引き出し整理に手をつける。まずは名刺をドバっと捨てる。年賀状は1年間だけ保存したあと処分しているが、名刺は溜まるだけ溜まっていた。その後は、事務所で使っていた引き出しと住まいで使っていた引き出し計4個の内容をチェックして、ダブっているものを整理して再構築する作業。とても時間がかかる…。



片付け中に出てきた書体の保証書。1969年に発売されたこの書体を購入すると、書体デザイナーの印が押されたこういう物がついてきた。
販売された文字盤が正規な物か、販売された数と作者に報告される数に相違がないか、こういう保証書を書体デザイナー側が用意して製品に添付することで確認していたのだ。
たぶん出版業界の検印制度をまねたのだと思う。昔、本の奥付ページには著者の印が一冊ごとに押されていた。あるいは印が押された小さな紙が貼ってあった。これも、製造された数と作者に報告される数の相違を無くすためのシステムだ。印税という言葉はここから来ているはず。
その後、著者と出版社の間に信頼関係が築かれたのか押印が省かれ、その部分には「検印省略」という文字が記されるようになった。
いま発行されている本では「検印省略」の文字さえ見かけることが少ない。製造あるいは販売数に応じて作者に報酬を支払う印税方式が、出版業界では普通になったということなのかな…。